毎年夏になると、熱中症で亡くなる方のニュースが連日のように報道されます。
運動中、炎天下での作業中などもさることながら、屋内(とくに就寝中)で熱中症で亡くなる方がなんと37.0%にもなります。
そのうち8割以上が高齢者です。
就寝中に熱中症で亡くなった高齢者のほとんどが、エアコンを日常的に使用していなかったことがわかっています。
では、なぜ高齢者はエアコンを使用しない人が多いのでしょうか?
その理由について述べていきたいと思います。
高齢者がエアコンを付けない理由
高齢者がエアコンを付けない理由に、次のようなものがあります。
・エアコンの風が嫌い(寒い)
・電気代が高い
・暑いと思わない
まず1つめの理由
エアコンの風が嫌い
についてですが、高齢になると家の中での活動の範囲が狭くなります。TVを見てほとんど動かない時間が多くなります。
そこにエアコンの風が直接身体に当たっていると、確かに寒いです。
自宅に出入りするケアマネさんやヘルパーさんがもしいらっしゃったら、風向きを変えて直接身体に風が当たらないようにしてあげてください。
次に電気代についてですが
エアコンを付けたり消したりすると逆に電気代が高くなります。
あまり低すぎない、快適温度での設定で
なるべく就寝中もタイマーなど使用して、エアコンをつけっぱなしにして寝るようにした方が良いです。
その他、驚きの理由としてエアコンの付け方がわからない。
というものがあります。
「付けないの?」と聞かれて「わからない」と言えず、嫌い・電気代が……などと言ってしまう方もいらっしゃいます。
確かにリモコンの種類によっては、暖房と冷房の切り替えが少し分かりづらかったりします。
エアコンを取り付ける業者の方は、高齢者のみのお宅にエアコンを設置する際は、リモコンの使い方を紙に書いて壁に貼っておくなどの配慮が必要なのかもしれません。
昔と比べて気温は上がっているのか
気象庁のデータによると
http://www.jma.go.jp/jma/index.html
1970~80年代の最高気温がおおよそ33~34℃でした。
直近20年ほどの最高気温は体温を超えていることがわかります。
平均湿度も70%と高くなっています。
昔は「暑いから日陰に行こう!」などと木の陰で涼んだり、部活の最中は水を飲んではいけない!などの根性論で乗り越えられた暑さだったのかもしれませんが、やはり地球温暖化は進行しています。
根性で乗り越えられる暑さではなくなってきていることがわかります。
高齢者は寒がり?
以下のグラフは室温の変化に対してどのように感じるかを高齢女性と若年女性の両方のグループに分けて調査したものです。
20分経過した後、部屋を暖かくする(寒くする)と変化させ、70分過ぎたときに室温を元に戻しています。
このグラフのように、快適だと感じる温度は高齢者・若年者の双方に大きな違いはないが室温を下げていった場合は若年女性の方が早く涼しい・寒いという反応を示した。つまり、寒くなったことに対しての反応や感度の変化が高齢になると鈍くなるということがわかります。
室温調節
部屋の温度をゆっくりと変えていくという実験です。
それに応じて自身で快適な温度に変化させてくださいという指示を高齢者・若年者の双方におこないました。
グラフのように若年者は少しの温度の変化でもこまめに室温を変化させていますが、高齢者はかなり寒くなってから、かなり暑くなってから室温を変化させていることがわかります。
つまり、かなり暑くならないと室温の調節をおこなわなかったり、涼しいところへ移動しようとしない。
このような行動パターンが夏場の熱中症の原因となるのではないでしょうか。
対処法
耳にタコのように何度も聞かされているかとは思いますが、一番は
こまめな水分摂取
です。
とはいえ、なんでもかんでも飲めば良いというわけではありません。
とくに「ビールで水分摂取だ!」
などは、もってのほかです。
常温のスポーツドリンクをこまめに飲む。
ですが、スポーツドリンクによって飲むタイミングが異なることをご存知でしょうか?
熱中症におすすめのスポーツドリンク
スポーツドリンクは主に浸透圧の違いによって大きく2つに分けられます。
アイソトニック飲料
アイソトニックとは「等張性」という意味です。
人の体液と同じ濃度になるようにつくられており、糖を多く含んでいるため長時間運動をするためのエネルギー源となります。
主に運動前に飲むことが推奨されています。
ゲータレード
ポカリスウェット
アクエリアス
ハイポトニック飲料
ハイポトニックとは「低張性」という意味です。
人の体液よりも低い濃度でつくられており、糖が少なく水分の身体への吸収に優れています。
汗をかいて体液が少なくなっているときや運動後に飲むことが推奨されています。
熱中症対策としては、こちらのハイポトニック飲料が優れています。
ポカリスウェット イオンウォーター
アサヒ スーパーH2O
VAAM ヴァームウォーター
アミノバリュー
まとめ
高齢者がエアコンを付けない理由
まず身体的な特徴として
60代を過ぎると若いころと比べて温度を識別する能力が低下し、4~5℃変化しないと気付かないということがあります。
また身体に感じる快適温度は若い人と差はありませんが、温度変化に対しての行動パターンに変化が生じてくる。
うんと暑くなったり、寒くなったりしないと自分からなかなか行動しないという特徴がありました。
つまり
何が問題かというと、高齢になると温度の変化に付いていくことが難しく、身体が変化に対応できなくなるという特性が生じてしまうからです。
高齢になると、なかなか周囲との交流も減ってきてしまうとは思います。
ご自宅に出入りする機会のあるケアマネさんやヘルパーさん、また信用金庫の職員さんなどおせっかいと思われてしまうかもしれませんが、声掛けをしていただければと思います。
またエアコンを取り付ける業者の方、リモコンの使い方を紙に書いて壁に貼っておくことや電気代についての説明などしていただければと思います。
少しの配慮で救われる命もあります。
毎年のように夏場の気温は上がり続けていますが、暑さを乗り切って明るい老後を目指していきましょう!
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