視覚機能の加齢変化 高齢者運転の事故が多いのはどうして?

高齢者リハビリ

目の仕組み  構造について

外から見えている目の部分、瞳と呼ばれる一番外側の部分を角膜といいます。コンタクトレンズはこの上に乗せます。その目の中心の部分には黒目と呼ばれる所があり(実は目の中が見えているため黒ではなく暗いのです。)そして目の玉の茶色の部分(外人は青や緑)は虹彩といいます。この虹彩で目に入る光の量を調節しています。次にレンズ(水晶体)を通って目の中に入ります。 眼球の中はゼリー状の液体で埋まっています。(硝子体)一番奥、スクリーンに当たる所を網膜といいます。(最近のデジタルカメラでいうと光センサー)そこに光が映し出されます。この網膜にある視細胞という細胞は光を受けると電気信号を発します。その電気信号が視神経を伝わり脳まで届くと、映像ができて見えるようになっています。

この網膜には錐体杵体という2つの細胞が存在します。
この2種類は形が違うだけではなく、役割が大きく異なります。
錐体】

円錐状で先がとんがっている
働き
色を見るとき、色を認識する際にはたらく

【杵体】

杵(きね)という時のとおり棒のような形をしている
働き
感度が良く薄暗いところで物を見る際にはたらく

明るいところで見えていた色が、薄暗いところで見えなくなってしまうのは明るさに応じて細胞の働きがバトンタッチするからです。つまり、明るいところで働いていた錐体から杵体に働きが変わるために、今度は色ではなく物体を認識する機能へと変わるために色の認識がしづらくなります。

年を取ると どこが どのように変化するのか

・水晶体(レンズ)や眼球内にある光を通す部分である硝子体が白く濁ったり、黄色く変わり
ます。 これにより、光の通り方が悪くなります。

・水晶体の弾力性の減退により、ピンと合わせをする力が減る。

・目の真ん中の黒い部分(瞳孔)が縮小する。これによって暗い所で瞳孔が開いて光を
たくさん取り入れようとする反応が少なくなる。(老人性縮瞳)

・視細胞の減少、また情報を脳まで伝達する神経細胞の減少。
(センサーの数の減少と通信ケーブルの減少)

これら、自体の加齢による機能低下の他
動体視力の低下,グレア感度の低下などにより、運転をする際に必要な視覚機能が低下することから高齢者の運転による事故へとつながっていると考えられています。

近年、高齢者の交通事故は増加を続けており、これからの本格的な高齢社会の到来に向けてその対応策が求められている。加齢に伴って人間の心身機能の低下が起こるが、それによって運転中にどのような問題が発生し、それに対処するための環境作りをどうするかその安全対策の検討が重要である。

(中略)

高齢ドライバーによる事故増加の要因として、視覚などの知覚特性の劣化が上げられる。

加齢に伴う水晶体の混濁度の増加などにより、視覚の空間周波数特性、グレア感度、色覚特性、焦点調節能力等が変化し、視覚機能は低下する。こうした視覚機能の低下により提示された運転情報が十分に認知されない可能性がある。

引用: 17.高齢運転者の知覚特性の劣化とその対策について  交通システム研究領域 自動車安全研究領域

動体視力について

動く視標に対する視力のこと。
静止視力と眼球運動調整能力等の相互作用によるもので、静止視力に低下は見られなくても動体視力は低下していることもあります。
追従眼球運動が低下するために低下し、標的の速度が速いほど認識がしづらくなります。
高齢者では、よく運転している人は動体視力の低下がさほど見られないなど、自動車の運転量と動体視力の低下が関係していると言われています。
また動きに対しての知覚に関して、近づいてくる車の速度がどれくらいかを知覚する能力も低下すると言われています。

グレアとは

グレア(羞明(しゅうめい))
強い光が目に入った時の「見えにくさ」「まぶしさ」のことをいいます。

夜間の自動車運転時など、対向車のヘッドライトがまぶしく感じることがあると思います。その光の光源と周辺との明るさのバランスの不明瞭度のことをいいます。

不能グレア/減能グレア
眼球内に一気に光が散乱してしまうため、見たいものが見えなくなってしまう、見えにくくなってしまう状態。本来であれば網膜上に像を結ばなければならない状態が、光が散乱してしまうため見えにくくなってしまう。光に幻惑されてしまうため、夜間飛び出してくる自転車に気付かなくなってしまうことが多い。

不快グレア
まぶしさが不快に感じる状態。

原因
水晶体での光の散乱によるもの。白内障などレンズが濁った状態になり、すりガラス状になってしまうと余計にまぶしさを感じるようになります。
また目の加齢的な変化によって、強いグレア光からの回復も遅くなると言われています。

まとめ

様々な視覚的な能力の加齢的な変化によって、高齢者運転の事故へとつながる可能性が多くなってしまうと思われます。

ですが、危ないから運転してはいけない。と一概に言っても良いのでしょうか。
郊外では、近くの買い物ができる所まで数キロあるところや
車に乗らなくては通院できない
バスや電車などの公共交通機関が整備されていない
など、車に頼らなければ生活できない所も多くあります。

どのような機能が低下していて、何に気を付けなければならないのかを知ること、そして
スピードを出さない  暗くなったら運転しない 交通量の多い時間帯は避ける
などで 防げる事故もあるのではないかと思われます。

40代から加齢は始まると言われています。自身の身体機能がどのように変化していくのかを知っていくことが大切になのではないでしょうか。

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