年を取ると味の好みが変わるのはどうして?加齢による味覚の変化について

加齢による変化

味はどこで感じるか

味は当然舌で感じますが、その舌の表面には味蕾という味を感じ取る受容器があります。この味蕾という細胞の味孔から入ってきた物質の種類に応じて、知覚する細胞の受容体が異なりその知覚が神経インパルスとなり脳へと伝わります。

この味蕾のある場所は、舌の上だけではなく上あごの奥の方やのどにも存在します。
粉薬などを飲んだ時に、のどの奥で「苦っ!」と感じるのは、のどの奥にも味を感じる細胞が存在するからです。

この味蕾という細胞ですが、年を取るにつれて細胞数の減少や細胞自体の機能低下などの加齢変化がみられます。

基本的な味は5つ

諸説ありますが、味は舌の上の特定の部分(地図)で感じるといわれています。基本的な味は 甘味 ・ 酸味 ・ 塩味 ・ 苦味 そして最近5つめの味としてうま味があることがわかっています。このうま味が発見されたことで、日本食が世界でブームとなっているのではないでしょうか。

           味覚の加齢変化

基本味の閾値は50歳くらいまでは、ほとんど変化しませんが50歳を過ぎると全ての閾値が上昇します。つまり、若い頃と比べると少し濃い目の味でないと知覚することができなくなってしまいます。特に苦味・塩味は閾値の上昇が顕著にみられます。

ですが、基本味の中でも酸味はあまり加齢に伴う変化はみられません。
これはヒトの長い進化の過程で、生存に関わる能力は低下しないようになっているからなのではないかと考えられます。

つまり 「食べるな危険!」的な味に即座に反応できるように、年を取っても感覚機能が大きく低下しないようになっているのです。

視覚や聴覚の感覚器は、太古の昔から比べると構造的にかなり複雑に進化してきています。
それと比較して味覚や嗅覚は、化学物質に反応するという基本的な仕組みにおいては、ほとんど進化していません。原始的な感覚ほど加齢による変化が小さいと考えられます。

成人における正確な味蕾の数は、個人差に加え疾患に伴う薬物の使用や加齢に伴う減少もあり研究結果は一定ではないが、加齢に伴う未来の数の減少は中年以降少しずつ生じ、代謝性疾患の発症などによる栄養状態の悪化や薬物の服用などを契機に著明に低下する。これは高齢者の舌上皮細胞から味細胞に分化誘導される速度の低下に加えて活動性の低下に伴う食欲の減退により生じる蛋白栄養状態の悪化が味蕾数の減少につながっていると考えられるからである。しかし最近の研究では、加齢に伴う減少傾向はあるが健康管理が適切であれば十分な味覚感受性を維持していると考えられている。(富田 1994)

引用 : 駒沢大学心理学論集No6「老年期の感覚機能の低下-日常生活への影響」 2004 北川公路

つまり 加齢に伴い味蕾の数の現象や細胞自体の機能低下は見られるものの、健康管理を適切におこなっていれば、味覚機能の低下は防ぐことができます

加齢以外による味覚変化

加齢による味蕾という細胞数の低下や細胞自体の機能低下による味覚変化以外にも、味覚に変化がおこることがあります。
・亜鉛不足
・口腔内の乾燥による口腔疾患
・抗がん剤など薬剤の副作用
・ストレスによるもの

などがあります。よく、ご飯を食べるとプラスチックを食べているような感じがする。と訴えられる方もいます。まずは病院へ行ってご自身の生活状況や服薬状況を伝え、相談してみてください。

まとめ

美味しいものをおいしく食べることは、人生の楽しみのひとつです。ですが、その趣向によって糖尿病や高血圧を引き起こしてしまう可能性が大きくあります。糖尿病や高血圧などの生活習慣病は脳卒中などの命に関わる疾患と大きく結びついています。加齢に伴って感じることができる味の濃度が変化していくことを理解し、少し薄めの味付けに変えることが大切だと思います。また適度な運動をおこなう、栄養状態に気を遣うことで味覚の変化を防いでいくことも大切です。美味しいものをおいしく食べ続けることができるように、日頃からの生活習慣がやはり大切ですね。

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